学生寮のジェンダー不平等

i女性会議(あい・じょせいかいぎ)発行の『i女のしんぶん』2023/12/10号をUさんから送っていただきました。Uさんからは富山に赴任してから、ジェンダーを含め、この土地の社会問題について多くのことを学ばさせていただいています。いつもありがとうございます。

さて、今回ご連絡をくださった内容なのですが、今号の6面に書かれている記事について。今年の6月にワークショップにて行った内容を、i女性会議富山県本部にて取り上げてくださり、自治体に働きかけがあったとのこと。それから『i女のしんぶん』で取り上げてくださるよう働きかけてくださったとのことです。

前回のワークショップでとりあげたのは、意外に知られていないことなのですが富山県を含む都内の大学に通う各県人寮(設置主体は、自治体から財団法人までと幅広いのですが)のジェンダー不平等です。

「立身出世」がもてはやされた時代、地方から都内の大学に進学するのは経済的負担が大きいため、各県ではいくら勉強ができても進学することを断念せざる得ない学生がたくさんいました。特に東京大学をはじめとした都内の有名大学は官僚を多く排出し、また大企業に多く就職する学校だったため、各県にとっても地元出身者を多く都内の大学に進学させることはメリットのあることでした。

戦後になり各大学で共学化が進みました。都内の大学も女子大を除くと男女ともに入学できる環境が整っています。ですが、今なお富山県を含む多くの県で、各県の学生寮には女子学生は入寮資格がありません。『i女性のしんぶん』の記述だと、6割以上が男子のみが受け入れ対象とのこと。例えば富山県は「富山県学生寮」「明倫学館」のいずれとも男子学生のみ、宮崎県の「宮崎県東京学生寮」も男子学生のみです。鹿児島県では2寮ありますが、「鹿児島奨学同学舎」は男子学生のみ、「岩崎学生寮」は男女可ではあるけれども、その内訳は男子学生30名に対して女子学生8名という非常にバランスを欠いた内容となっています。

現在発売中の記事のため、記事全文の転載は控えますが、今なお北海道、青森、福島、茨城、富山、福井、山梨、新潟、静岡、大阪、兵庫、奈良、和歌山、岡山、愛媛、高知、宮崎は男子学生しか入寮できません。また前述のとおり鹿児島や福岡の福岡県学生会館に関しては、男女可ではあるものの、男子学生が優遇されています。こういった男子女子間の進学支援の差も現在の日本のジェンダー格差の根底にあります。

各都道府県レベルを見ると、鹿児島県の楠隼中高一貫教育校が「リーダーを育成する」と銘うった公立校でありながら男子学生しか入学させないといった問題、また宮崎県の五ヶ瀬中等教育学校のように成績優秀者の女子を落としていた(2018年にあきらかになり、「少しは」是正された)問題など女子生徒・学生をめぐる問題は残念ながら今も残っています。