このホームページは、研究活動の一つとして発信されています。以下のような若干堅めの文章とブログを掲載しています。

・文科省科研費研究の報告
・社会活動
・授業関係のデータ(URLは授業中に配布した別ページになります)

引用される場合は、出所を明記していただくようお願いいたします。

HPの名前の由来

本HPのタイトル「Days of Wine and Laws」( ディズ・オブ・ワイン・アンド・ロウズ)は、名画として名高い「Days of Wine and Roses デイズ・オブ・ワイン・アンド・ローズス(邦題『酒と薔薇(ばら)の日々』以下『酒バラ』)」をもじったものです。つまんない駄洒落(だじゃれ)でスイマセン。

この『酒バラ』ですが、映画本編よりもジョニー・マーサー(Johnny Mercer)が作詞、ヘンリー・マンシーニ(Henry Mancini)作曲のテーマソングが有名だったりします。Jazzの世界ではスタンダードナンバーとして名プレイヤー達によって演奏されており、耳にされたことがある方も多いのではないかと思います。

ところがこの映画の本編は、どうしようもなく暗い陰惨な気分となるストーリーです。アルコール依存症を描く怖い怖い話で、この悲惨なストーリーに美しいメロディーラインがかぶることで、残酷さが更に増してしまうように思えます。

フィッツジェラルド版。かっこいいですよ。

ネタバレを避けるためにぼかして書きますが、最後のシーンで主人公の女性がバーに向かうシーンは、戦慄が走ります。アルコール依存症って怖いんですよ。そして一見「普通の」社会生活を送っている人でも一歩間違うとアルコール依存症に陥る可能性は十分にあります。僕自身もかつてそういうことがありましたが、人間がアルコールのような別の力に溺れてしまうのにあまり大きな理由はないのです。「自分はこれこれこういう理由で、アルコールに溺れてしまった」なんて言うような類の話ではないのです。

アルコール依存症だけにおさまりません。少数民族、原子力発電所、地域興しをめぐるフィールドワークを続けていると、様々な「依存症」の方々に出会います。「父権依存症」「補助金依存症」「利権依存症」といったような。そしてそうした風景と出会う度に僕はそういった先々で出会った方々が、『酒バラ』の主人公の哀しい姿と重なって見えてしまいます。

法化現象

「法学」という学問を多少なりとも専門にするに当たって、よく「法学とは『法によって権利を認めさせるか否か』いうことを考える学問」というような説明を耳にします。例えば「AさんとBさんがこういうトラブルを抱えています。弁護士の先生、この場合Aさんはどれだけ請求できるでしょうか?」というような「法システムに準拠することで得られる解答を与えるのが法学だ」とでもいうべき発想法を学ぶ学問が世間一般から与えられた法学の学問のイメージなんでしょう。

そういった法学のあり方ももちろん間違いではないでしょう。でも映画『酒バラ』と同じく「法依存症」症状を生じさせるような事態が法と市民との間に生じていたら。「合法でありさえすれば何でもOK」という世の中は私たちを幸せにするのでしょうか。そしてそもそも「合法である」ことを語ることのできる人が極端に少なかったとしたらどうでしょう。

少数民族でその国の主要言語がしゃべれなかったり、裁判所が少数民族の言語を理解してくれなかったり。または日本国内でも「尋常小学校しか出ていない一般住民の意見よりも専門家の見地の方が重要なので、裁判では対応しない」といったように、法のテーブルに乗せても無視されてしまう事例は沢山あります。

また、明らかに自分が被害を受けている場合であっても、法のテーブルに乗せることのできない「消えてしまう被害」もたくさんあります。子ども・女性へのDV(家庭内暴力)などはその最たる例で、弁護士費用も出せず、未成年のため被害も出せず、また肉親による性的虐待など公に(物理的な理由だけでなく、精神的な理由で)できないケースもたくさんあります。

法がうまく機能することによって、私たちの社会は円滑に機能する一方、法に依存しすぎているあまり「うまく動かない/人々の権利が踏みにじられる」事態も多々あるのです。

こういった「我々の人権を守るために機能してくれる法が、実は我々を不幸にしてしまう」という現象を敢(あ)えて専門用語でいうと、「法化(juridification)現象」といいます。それがこのHPの著者である私が、一人の法社会学徒として、長年取り組んでいるテーマです。

単なる語呂合わせのネタというばかりではなく、「法依存症」の姿を見直したいと思っています。そんなわけでダジャレ的ではありますが「Days of Wine and Laws」というネーミングになったという次第です。

追記

これまで20年近く「蟹索庵」という名前で運営していました。僕の周囲をめぐる状況は、もはやじっと思索している状態が許されなくなってきました。そんなこともあってタイトルを変えています。変更に伴いいろいろとリンクが切れてご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

追記2

本ホームページで使用している当方のイラストは、寺島ヒロさんに描いていただいたものです。イラストの依頼などは直接寺島さんに問い合わせて下さい。