霧島フィルハーモニーオーケストラ第13回定期演奏会

本日は我が霧島フィルハーモニーオーケストラの第13回定期演奏会。

土砂降りの雨の中都城から霧島市国分の市民文化会館に移動。和やかな雰囲気の中午前中のゲネプロをこなし本番を待つ。トロンボーンにとってとても難しいブラームス2番の第4楽章を隣のテナートロンボーン奏者のKさんとドキドキしながら吹く。ゲネプロでの結果は「意外に上手く吹けた」というもので、二人して「おおっ、これはなんとかなるかも」と笑顔になる。が、実は内心はガチガチ。どうして実音Dなんかでてくるんじゃー、とか思うし、しかもこの時代の交響曲は(ブラームスがベートーベンを崇拝していたということもあり)第4楽章でトロンボーンは本格的に登場し、さらに「とっても高音域」という信じられない出番。たとえて言うならば、M1の決勝戦に「さぁおもいっきり笑っていただきましょう!」といきなり振られるような状態か。
さて、ゲネプロが終わり本番直前今回も我がトロンボーンパートはトロンボーンアンサンブルで前座を務める。コラールを中心とした1曲目とポップな2曲目でまずは軽く会場を暖める(<ってまるで芸人の前座そのものですな)。1曲目のコラールはすごくうまく当たったのだが、2曲目は僕がはずす。しかもLow Dをだ。トホホの神に愛されているようで、かなり凹みつつ楽屋に戻り、本当の出番をまつ。

毎度のことだがトロンボーンは舞台の一番奥に位置しているため、真っ先に入場する。しかもオケではトップを吹いているので、本当に一番最初。第一部は映画音楽でスタート。しかもタイで上映禁止となっているKing and I(王様と私)でスタート。最近のタイに関するニュースを見聞していると、とても心落ち着いて吹けそうにない曲目。だが、先ほどのトロンボーンで音をハズしたのが「ヘンに効いた」のかすばらしくいい音でテナーバスが鳴ってくれる。『仮面舞踏会』のソロなんか、自分がこんなにいい音出せるなんて考えたこともなかった。続く第一部の楽曲もなんなく修了。「俺って結構上手いんじゃないか」と一瞬勘違いをしてしまったほど。(爆)

トホホの神はさらに僕を捕まえて話さない。続く第二部のブラームスの準備のため一旦楽屋に戻り、再び袖で待機。だが、ここでブラームス用のアルトトロンボーンの他にアンコール用のテナーバスを用意しなくてはならなかったのに忘れて袖に待機していることに気づく。他の楽団員に笑われながら急ぎテナーバスを用意。このドタバタは結果的には上がり気味だった僕を押さえてくれたようで、第1楽章のコラールがばっちりきまる。ゆっくり半音階で降りていく第一主題の後のコラールは”神の啓示”で、教会でコラール専門の楽器として発展したトロンボーンならではの境地だろうと思う。吹きながら今回の演奏会に至るまでの練習で一番いい音で鳴ってくれている楽器がたいへんいとおしく笑顔を押さえるのに必死。後から聞いたら、他のメンバーもこの瞬間に「今までのどの練習よりもいい音がなっている」と思ったようで、自分の楽器が「まるで自分の楽器ではない」ような鳴り方をしてくれたそう。
そんな「神がかった」と皆が思う演奏がそうそう簡単にコケルわけはなく、僕自身もこの半年ほど苦労に苦労を重ねていた第4楽章のHigh Dから始まるffのフレーズもあれだけ練習でコケたのが効いたのか、無事に修了。もちろん隣席のKさんのテナーもすばらしくよい音でHigh Aをとらえ、二人してにまにまとしながら最終音を吹ききる。僕のアルトは「ボタン・ボタン」とリズムを刻み、女性らしい音を出してくれた(と思う)。
100点満点ではないけれど今僕の出来る最高の演奏は出来たわけでそれがとにかく嬉しかった。それも演奏のヒントをつい前日の女声合唱でもらうなんて、すごく「ついている」とも思う。

大雨にもかかわらず、多くの知人が聴きに来てくれて霧島フィル始まって初の500人オーバーという入場者数。ああ、やっぱりコラールは神の啓示なのだろう、と思う。