見苦しい
湘南工科大学不当解雇事件の横浜地裁判決が6月28日に出た。当然ながら教員側の完全勝訴の判決で、裁判所の良心を見た気がする。だが、非常に残念なことに、湘南工科大学側は、この判決を不服として上告を決定したようだ。はなはだ残念である。
湘南工科大学総長及び理事長であられる糸山英太郎氏のホームページは、以前も蟹索庵ではネタにしたことがあったのだが、ちょっと見なかった間にまたまたすごい記事が掲載されていることに今日気づいた。
「私立大学経営は誰の責任か?部外者は黙っていろ」
がそれだ。
ツッコミどころ満載のこの記事をぜひみなさんに読んでほしいのだが、
今回の横浜地裁の判決については「大学の品位及び名誉を著しく傷つける誹謗中傷」「交通費の不正受給」を行った者が許されるという、私には到底納得できるものではなかった。
というところに主張の力点がおかれているようだ。
しかし判決文をよむかぎりでは
なお,被告は,全教職員の交通費請求の内容を調査したわけではなく,本件救済命令取消請求事件の係属中に同事件で不当労働行為を主張していた原告○○ら3名の交通費請求の内容を調査し,その後教授不任用の理由として新たに原告○○に不正受給があると主張したものであるから,原告○○を教授に任用しないことを正当化し本件救済命令取消請求事件を有利に運ぶことを目的として,交通費請求の問題を取り上げたものと推認されるところである。
そうすると,原告○○が本件各出張の一部につき大学に立ち寄らず自宅から直接出張地に赴いたことがあったとしても,被告において,その場合には自宅を起点とする交通費請求をしなければならないとの明確な基準を定めていたわけではなく,また,原告○○が不正な利益を得ようとしたものでもない。
したがって,原告○○は被告主張の懲戒解雇事由のいずれにも該当せず,本件懲戒解雇は,懲戒解雇事由が存在しないから,その余の点について判断するまでもなく,無効である,
ということで、裁判所側の意見をまとめると、「湘南工科大学がクビにしたい教官の交通費のみを調べ、無理矢理不正受給を行っているようにストーリーをでっちあげた」ということだそうだ。
・・・見苦しい。むしろこっちのほうが大学の品位を落としていると思っちゃうんですが、そのあたりを総長はいかにお考えなのでしょう。
糸山英太郎という人は、他にもなかなかおもしろい文章を書く人で
「ポスト小泉の行方 私は谷垣禎一君を考えている」という迷文も同サイトには掲載されている。
彼が谷垣氏を押すのは以下のような理由によるようだ。
東大法学部を卒業、若き弁護士として活躍していたところへ父君の急逝で政治家に転身した。親しい友人である私は彼の真面目さを良く知っている。
そんな彼が宏池会分裂という修羅場を経て目指すものは、保守本流の名にかけて日本の国益を守ることに他ならない。
少子化問題の解決は家庭内の絆が、犯罪の抑制は地域社会の絆が、絶対に必要だと言い切る。
その絆も精神論だけでは無いはずだ。二重課税である相続税を廃止し、世代間の富移転を進めれば少子化を止める効果絶大だろう。日本は大胆な政策を打ち出せる政治家を待っているのだ。
派閥修復、大宏池会など小さい話だ。
もっと大きく、日本人が忘れている「絆」にこだわる谷垣禎一君に期待している。
つっこみどころありすぎで、はらいっぱいです。少子化問題が家庭内の絆によって解決できるなんて初耳です。世代間の富移転を進めれば少子化が止まるというのも初耳です。
ただ、大学は総長だけのものでもないし、教育者だけのものでもないし、学生だけのものでもないので、「絆」にこだわって頂き、クビにした先生方の一日も早い復職を受け入れてもらいたいものだと思う。