ドイ・インタノン
久しぶりのH村で迎える朝。村長の息子に起こされる。今から近くの(といっても片道2時間半)ドイ・インタノン(インタノン山)に家族で行くので一緒に行こう、とのお誘いだった。
インタノン山はタイの最高峰で、標高2,670メートル。この山の8号目あたりには、タイで一番標高の高い場所にあるモン族の村があり、H村の人々の多くはこの村の流れを汲む。チャオ・ファー(空の民)と呼ばれたモンの人々のルーツを確かめるべく、以前から一度行ってみたい、と思っていた。だが村は観光客相手の商店で埋め尽くされていて、過去の村を偲ばせるようなばせるようなものは何もなかった。まぁこういうもんだなぁ、と納得する。
頂上まで車でいけるというのもすごいのだが、何よりも(考えて見りゃ当たり前なのだが)山頂は空軍の管轄するレーダー施設があって、数カ所の検問を通過する一種の軍事拠点になっていた。頂上付近には、観光客向けに国王・王妃の60歳の誕生日を記念して作られた仏塔(チュディ)が二基ならび、ここもやはり空軍の管轄となっている。
こうした軍隊にとっての要所で、人々が生活することも通常は国の立場からすると決して喜ばしいものではないのだろう。空の民が、空の軍隊の下で過ごす日々を思うと少し切ない。