WZ Editor for Macがすごい!

これまで「PCのエディターをどうしようか問題」というのがずっとくすぶっていました。
現在僕の周辺にあるマシンは、Windows2台(1台はプレゼン用)、Mac2台で基本はMacで論文を書くようにしています。しかし勤務先・非常勤の様々な事情により、Windowsでしか動かないソフトウェアが大量にあることや、教科書出版社から提供されるパワーポイントがWindowsを前提に作成されていることから、Windowsも利用しているという状況です。業務で配布されるワードやエクセルの文章も基本はWindows版で作られていることが多いため、なかなかMacだけに限定して使うということは難しいんですよね・・・それぞれに設計の思想が異なるので、それをあれこれいってもしょうがないですし。そして何より腕の障害を第一に考えなきゃいけないので。

さて、ここでMacとWindowsのあれこれをいってもしょうがないのですが、あとどうしても「解決しそうで解決しない」納得がいかなかった点がテキストエディターのことでした。テキストエディターについては、「宗教戦争」とも言われるEmacsとvim派の対立など、この話に首を突っ込むとやはり収拾が付かなくなってしまうのですが、基本は全マシンにEmacsをインストールし利用してきました。理由は簡単で「すでに手にEmacsのキーバインドが手に馴染んでいるため、他の選択肢が考えられない」というところが大きいです。しかし、世の中のEmacsそのものではなく、実は僕の場合は、「Emacsライク」なエディターが欲しいのであって、Emacsそのものがほしいわけではないのです。Lispも便利でしたし、プログラムも書かないわけではないのですが、日常生活のメインは文系的な文章執筆で実は縦書きの文章も書くことが多く手持ちのコンピュータ全てでDrop Boxなどを経由して文章が変更できるようにしたかったのです。

さらに昨年までは自動車での移動がメインでしたが、最近は自転車で移動することが多くなり、できるだけリュックの中身を軽くしたいということから、今一番愛用しているモバイルマシンは実はpomera DM-200だったりします。ええ、もちろんLinux化して使うことが多いのですが、現在はpomeraの標準機能を縦書き文章エディターに設定し(pomeraは二つ以上の設定を持てないので)、短歌を書くときはpomeraで、それ以外の文章を書くときはpomra Linux上のEmacsでという使い分けをしています。たぶん観る人が観ると「なんだそりゃ」な使い方なんでしょうが、ええ、使っている本人が一番「なんだそりゃ」だと思います。ですが、腕の障害との共存するためにこういう「なんだそりゃ」との対峙をくり返しながら作り込んできました。

結局の所、僕の仕事はその8割がエディターで行い、それを最終的にWordや他のソフトに流し込むだけなんですよね。例外的にメモ書きだけはEvernoteで行うのですが、ともかく安定して使えるエディターの存在というのは仕事を左右するんです。ぶっちゃけ、英語版キーボードのpomeraでEmacsバインドが使えれば、清書用のWordぐらいがあれば他に文句はないのですが。

そんなわけで僕にとってEmacsが提供してくれない「ATOKネイティブな縦書きも可能な環境」を作るためにWindowsはとりあえず「秀丸」と「WZ Editor 10」、Macは「Jedit Ω」で定着していました。更にMacに関しては芸術関係の原稿を書き上げるときには「Hagoromo」を使用してきました。これらのエディターには一長一短どころかそれぞれが素晴らしすぎる機能をたくさんもっているため、どのエディターもかなり入れ込んで使い込んでいました。特にHagoromoに関しては、Macの縦書き文章エディターとしてはこれ以上手にいれることができない環境で、「.hagoromo」形式のオリジナルファイルが僕のフォルダには多く眠っています。そして、それを状況に応じてプレーンのテキストに変換して送るのですが、このときに手元にMacがないとこれだけで仕事がワンステップ増えてしまうんです。これが非常にわずらわしい。

それが今年の3月にWz EditorのMac版が発表されたことでいろんな問題が一挙に解決します。実はこれまでの人生で僕が一番愛用していたエディターは、乾電池駆動で動くMC-R300(モバイルギア2)で使用していた「WZ Editor Pocket」で、そのあとのJorudana 720でも使用し、また師匠からお古をいただいた中古のDOSモバ(MK-32)で「VZ Editor」とATOKをインストールして使い込んできました。VZ Editorって、一般にはあまり知られていませんが、かつて『噂の真相』の裏表紙にずっと広告を掲載していたあのソフトです(といっても『噂の真相』を知る人も減っていますが)。もう20年ほど前になりますが、フィールドワーク先のタイの山村に持ち込める乾電池で駆動できるこれらの機械にどれだけ救われたかわかりません。そのころは、Windowsを泣く泣く使用していたこともあって、母艦ではWZと連携させて使用してきました。このHPの前に作っていた各HPも、Filemakerの各スクリプトも基本WZで書いていました。そのWZ EditorがMacでも使え、しかも現Windows用のWZ Editor 10と環境が変わらずに使える、ということについてはもう涙ものです。ありがたい。本当にありがたい。

というわけで、4月に正式リリースされたWZ Editor for MacのカスタマイズにいそしむGWでありました。もう本当に感激もので、キーバインド、文字のあれこれも含めて全部Windows版そのままです。そしてATOKとの相性も抜群で、不満要素が見つかりません。マクロも使え、またアウトライン表示も可能です。画像は例によっていつもの聖書のテキストのアウトライン表示ですが、こんな風にMacで表示が可能です。

もうMacでもWindowsでもテキストエディターに悩むことはなくなりました。一つ心配の種が減り、生産性は十分にあがりました。あとは文章を書くだけ・・・なのですが、そこが一番の難問となることを改めて知るコロナ禍の日常でした。

WZ Editor