授業ノート「Albert Maysles」

明日の「ドキュメント論」の授業に向けて、レジュメをまとめている。いろいろな事情が重なり、今年は僕が担当することになったのだが、準備を通して、自分の中に散らばっていた断片的な知識がつながっていく感覚があって面白い。

「あの作品はこうして次の作品へとつながっていたのか」と発見することも多い。ただ、すぐに手に入らない映像もあるため、全てを論じ尽くすのはなかなか難しそうだ。

今回取り扱うのは、Albert Maysles(の一部の作品)。

  • 『Salesman』(1969)
    なんと題材は聖書を売り歩くセールスマン。主人公の「売れない苦さ」から、労働や信仰、階級社会の断面が浮かび上がる。別の「アメリカ社会の諸問題」の授業でも取り扱いたい。
  • 『Iris』(2014)
     ファッション・アイコン、アイリス・アプフェルの生き方を映し出す。年齢や創造性、スタイルをめぐる前向きな姿勢を描いた、Maysles晩年の快作。「女性」の生き方を考えたい。
  • 『In Transit』(2015)
     長距離列車エンパイア・ビルダーの乗客を静かに観察する作品。日常の出会いや人生の断片が交錯し、演出を超えて自然に物語が立ち上がる。今回の授業のドキュメント論を考えるうえで格好の素材だと感じる。

こうした準備のなかで、やはり友人の存在は心強い。このブログでもたびたび登場する高校時代からの友人N君(いまは某私大の教員)に助言をもらいながら、僕が見落としていた視点を補うことができた。そのN君から教えてもらったのが、Maysles自身の次の言葉。

“As a documentarian I happily place my fate and faith in reality.”
(ドキュメンタリアンとして、私は喜んで〈現実〉に運命と信頼をゆだねる。)

この言葉を胸に、明日の授業では「観察だけで人物像は立ち上がるか?」という切り口から各作品を紹介したい。特に『Iris』については、生き方の多様性を女子大で学ぶ学生たちに考えてもらいたいと思う。僕は中期の作品をごっそり飛ばしているのだが、明日の授業開始までに何本見終わるだろう・・・。他にも原稿あるのに・・・今夜眠れるだろうか。

主の平和。