今年の亡くなったミュージシャンについて(まちおん連載12回目)
今回頂いたお題は実は「紅白歌合戦」なのですが、どうもこの時代に「男女に分かれて歌合戦」という時代ではないと思う。もうそろそろこのスタイルは止めて良いと思う。今年に関してはAdoに「うっせぇわ」を歌ってもらって、「紅白歌合戦」という古い形式の歌番組を終了させ、Youtubeなどのネット配信が主流の今、もはやテレビ番組のコンテンツが終演したことを宣言すればよいのではないか、と思ったりする。
で、僕なりに「早く紅白歌合戦など終わって欲しい」というような意味も込めて、勝手にこんな企画を。
それは、「今年亡くなったミュージシャンについて」。
・1/11 ハワード・ジョンソン(Howard Johnson)79歳
ジャズ界のトップチューバ奏者で、ローブラス(低音金管)吹きならだれもが憧れるスーパースターだった。知人のチューバ奏者から、その死の第一報を知らされた。
・Big Alice
今回の訃報を受けて、海外のニュースを読みかえすと、先の記事で書いたSaturday Night LiveではSNLバンドのディレクターとしても活躍していたとのこと。非常に多彩な方だったようで、リンク先の動画では、Bass Saxphone(通常吹奏楽で使用されるバリトンサクソフォーンよりもさらに低いB管の楽器)を演奏する姿を見ることができる。
・King Tut - SNL
2/9 チック・コリア(Chick Corea)79歳
ジャズ界の巨匠。ジャズ好きで知らぬ人はいないだろうエレクトリックキーボード奏者の草分け。「Spain」は、吹奏楽や各アンサンブルに編曲されて耳にしたことがある人も多いのではないか。リンク先の映像は2018年のもので、このライブが行われた76歳でこの圧巻のステージ。
・Chick Corea: Vigilette | JAZZ NIGHT IN AMERICA
・9/30 すぎやまこういち 90歳
作曲者。歌謡曲の他、ドラゴンクエストなどのゲーム音楽の作曲者としても著名。
すぎやまこういち氏については、晩年はその社会的発言についても様々な議論を呼び起こすこととなり、個人的には複雑な思いがする。とはいえ、やはりゲーム音楽を芸術レベルまで高めた功績は素晴らしい。かつて『I/O』誌に、ENIXの広告ページに大々的に『ドラゴンクエスト』の広告が出ていたのを思い出す。「シナリオ:堀井雄二、キャラクターデザイン:鳥山明、音楽:すぎやまこういち」と当時のPC雑誌としては異例とも言える大きな広告が出たのを思い出す(記憶だとその横には「ドアドアmkⅡ」等のPC用ゲームの広告も掲載されていた)。その後、吹奏楽でもオーケストラでもアンサンブルでも多く親しまれ、今回の東京オリンピックの入場曲にも採用された。
・日本BGMフィルハーモニー管弦楽団 序曲/「ドラゴンクエスト」
他にも今年なくなった音楽関係者で、僕が多少なりともその音楽に触れていた人々としては以下のとおり。
5/30 小林亜星 88歳 作曲家としてだけでなく俳優としても活躍。
7/13 辻久子 95歳 バイオリニスト。「道なき道」(織田作之助)のモデルとなった。
8/14 ジェリー藤尾 81歳 歌手。「遠くへ行きたい」「ダニー・ボーイ」
8/24 チャーリー・ワッツ(Charles Robert "Charlie" Watts) 80歳 ザ・ローリング・ストーンズのドラム担当。
もちろん、ここに取り上げていない他のメジャーなミュージシャンもいるが、僕が書けることはあまりにも薄いのでこれぐらいで。
このコロナ禍の中で職を失った人は多く、音楽家もその例外ではない。「まちの音楽家」が集まる「まちおん」のエッセイ担当者の一人としては、そういった有名ミュージシャンの死についてもだが、まちの音楽家の行く末あれこれについて考えた一年だった。
音楽を愛する人々にとって、来年は幸せな一年になることを祈りたい。