タイのネット事情 接続編
タイで研究生活を続けていると、同僚から
「タイでインターネットに接続するにはどうすればいいか?」
「モバイル通信はどこまで可能か?」
というご質問をいただくようになりました。以下タイからインターネットで接続する場合の注意点などについて記してみます。
・ホテルの通信環境
短期旅行であれば、ホテルに滞在する方がメインだと思われますが、よほど安い宿で無い限り地方都市でもインターネット環境がついてくるのが普通になりました。ただし、タイのホテルで提供されるインターネットはWifiが中心となります。ケーブルレスで便利なWifiですが、同時に接続する方が多いと接続できなかったりとか、b-g形式の接続だと各部屋に設置されていることの多い電子レンジの影響を受けて接続が途絶えてしまうことが多々あります。
「Wifiでしか接続しない」という強い意志があるとかであれば話が別ですが、もし有線LAN環境があるのでしたら、「ホテル用Wifiルーター」を購入して持って行くことを強くオススメします。サイズもさほど大きくなく、手のひらサイズで、とても使い勝手がいいです。もちろんタイだけでなく世界中のホテルで使え、Wifiが劇的に速くなるのでオススメです。僕は日本国内でも出張に行くときは必ず鞄の隅にいれており、東横インや某KKRなどしか宿泊施設が確保出来なかったときにとても重宝しています。
※ちなみに、バッファローのWMR-433とかオススメです。
・街中のWiFiスポット
こういったホテルの回線に不満のある方は、街中の飲食店が提供するWifiスポットがオススメです。デパート、レストラン、カフェなど現在バンコクのいたるところでWifiが運用されており、日本よりも快適です。
そんな飲食店のWifi利用で、個人的にオススメのWifiスポットは、スターバックスとマクドナルドです。
バンコクでは今やコンビニ並みに見かけるようになったタイのスターバックスでは、タイの老舗インターネットプロバイダーKSCと組んで、時間数に応じて有料でWifiが利用できるようになっています。タイのスターバックスは、電源も貸してもらえるほか、基本長時間居座っても叱られないので、こちらで数時間ネットサーフィンをするのも悪くないかもしれません。
※この記事の最後にtrue利用者のための無料(に近い)スタバWifi利用方法を記しておきましたので、そちらもお読み下さい。
またマクドナルドの一部店舗では、レシートに記載してあるパスワードを用いて商品購入と同時に2時間のみ無料となるWifi利用券が付いてきます。個人的にはマクドナルドの食品をあまり食べないのですが、コーヒーは日本のセブンイレブン並に美味しいです(あれ、あまり褒めてない)。「簡単にメールチェックしたい」という方はこちらで大丈夫です。
また意外なところで、タイの病院でもWifiを利用することが可能です。世界的なサービス提供で知られるバムルンラード病院は、患者向けにWifiの無料サービスを提供しています。病院を利用する状況というのは、あまり喜ばしい話題ではありませんが、もしバムルンラード病院を利用されるような場合は、ぜひ利用してみてください。
・モバイル端末(スマートフォン・タブレット)の利用
またSIMフリー端末(SIMフリー版のiPhone、iPad、Androidなど)をお持ちの場合は、空港やコンビニエンスストアで現地SIMを購入することで、日本同様にスマホでのモバイル接続環境を構築することが可能です。2015年のタイでは、True社が4G回線を導入し、テザリングでの運用も十分可能な速度を提供しています。
※なお、2015年7月から、SIMカードの購入にはパスポートの提示が必要となりました。
ところが当然と言えば当然ですが、このような使い方をするとあっという間に上限の使用量をオーバーしてしまいます。
ウマイ方法はないものでしょうか?実は、タイでは携帯キャリア各社とも街中Wifiを提供しています。以下はTrue社のwifiを利用する手順です。
True社のWifiを利用する手順
1 現在の位置でWifiをonにしたときに「.trueMove」「.trueMove H」のアンテナが届いているか確認。
2 携帯電話から、
*242*4#
をダイヤルします(シャープまで必ず入れること!)。そうするとしばらくしてSMS(ショートメッセージ)宛てに、ワンタイムパスワード(4桁)が届きます。以下の画像がそのショートメールのサンプルです。
3 このショートメールをもとに、Wifiで「.trueMove」「.trueMove H」のどちらかに接続してください。IDは自分の携帯番号、パスワードは4桁の数字になります。「.trueMove H」は速度が速いのですが、SIMカード購入の後に4G対応にしてもらうことが前提です。ショップでSIMカードを購入する際に、「4G対応」とオーダーして下さい。
True moveのアカウントでスターバックスのKSCを利用する(裏ワザ)
さて、意外に知られていないのですが、Trueの定額利用者はスターバックスでのWifiを無料で利用することができます。実はこの記事を書いたきっかけは、スタバでKSCカードをわざわざ買っている知人を見て、意外に知られていないことを知り立ち上げた次第です。とってもお得です。
先のTrueの3手順を終え、スターバックスでコーヒーでも頼んでのんびりしながらWifiのセットアップをして下さい。(下の事例はiPhoneでの設定ですが、パソコンでもやり方は同じです。)
4 スターバックスのSSID「kschotspot」に接続します。するとiPhoneの場合、次のKSC接続ウィンドウが開きます。パソコンの場合は少し違いますが、同様の分かりやすい画面設定になっています。
5 この画面の[Domain]をtrue Move(もしくはtrue Move H)に変更した上で(PCの場合もドメインを変更できるようになります)、
UsernameにTrueの電話番号を、PasswordにSMSで送られてきたワンタイムパスワード4桁を入力します。
これで何時間でも接続可能です。
※なおスターバックスで接続する分には、Move であろうが Move HであろうがWiFiルータ経由ですので、速度はかわりません。また、KSC側の都合で1時間に一回リセットされることがありますが、気にせず1時間に一回上記作業をくり返して下さい。
・滞在者の常時接続環境
以前はモデムを使って接続していたタイのインターネット環境も、ADSLの普及により常時接続ができるようになりました。コンドミニアム(コンドー)にお住まいの方は、外国人向け物件であれば、True社のADSLの設置が可能です。
日本では光ファイバーに移行したプロバイダーがほとんどのため、「遅い」というイメージもありますが、10年前に留学していた時に比べれば隔世の観があります。またADSLの利用に関しては、True社の提供するWifi内蔵ルータを利用することが前提で、ケーブル接続も可能です。
True社から提供されるスプリットモデムは、WiFi付きの4ポートルータです。そのため、簡単なLAN構築も可能です。我が家では、4台のコンピュータ、3台のPDA、1台のネットワークプリンタ、1台のWifi対応スキャナが無事に稼働しています。
・まとめ
というわけで、いろいろとタイのインターネット接続環境について書きましたが、「けっこうめんどうくさい」と思われる方も多いかと思います。そのとおり。コンピュータというテクノロジーは、便利なだけではなく人間に多くの負荷をかける技術でもあります。したがって、上記のことを行うにあたって、「ここまでやってもメリットが十分に返ってくる」という判断をされた方のみ、行ってください。タイにでっかいコンピュータを持ってきて、ネットに接続したものの、いつもどおりの広告メールしか受信しなかった、という実に悲しいケースも聞きます。せっかく海外旅行されているんだから、リアルタイムに情報を発信するというのも楽しいですよ。
どうぞよい御旅行&留学を。