この一ヶ月のことなど

新しい職場に移動して1ヵ月が過ぎました。

実際のところ、前職より忙しいのですが、大変やりがいのある仕事をさせていただいています、、、と、書くと前職がやりがいがなかったようで申し訳ないですが。加えて体調としては実は絶不調で、このGWはほとんど寝たきりでした。どうも更年期障害を再発したようで、身体の重さと闘いながらの1カ月でした。特に体温が低くなりすぎていて、GWの時期でも未だに湯たんぽが手放せないほどでした。幸いにも今は少し落ち着いています。

そのような体調不良の中ですが、自分の裁量でできる仕事の割合が増えたことは本当にありがたいことで、日々の生活はこの数年の中で一番落ち着いています。何よりもやりがいを強く感じています。

仕事量自体はかなり増えていると思います。特にオープンキャンパス等の広報活動はこれまでの学校では感じたことがないくらいプレッシャーを感じています。土日返上での業務は労働時間数だけで言えば前職よりもハードではあります。

ただ、前職と異なりパーマネントで雇われているということがもたらす心の安寧は何事にも変えられないと感じています。望めば研究もできる環境になりました。「研究日」ができたのは僕のキャリアでは初めてでした。研究を諦めたこともある身としては本当にありがたいことです。また学生とこんなにゆっくりと向かいあう時間もはじめてのことでした。

考えてみると前々職の高専から、前職の富山大学とかれこれ20年国立の高等教育機関で働いてきましたが、この間国立高専や国立大学の教育・研究環境は大きく変わり、それぞれの僕の置かれた立場では研究をすることも、ゆっくりと学生と向かいあうことも難しくなっていました。もちろん、僕と同じ立場でも真摯に研究や学生と向かい合うことはできたはずではあり、現在も高専や国立大学で研究や教育に従事している先生方には本当に頭が下がります。結局は自分の至らなさを自覚するばかりで、正直な自身の感情としては、前職にとどまることや、またこれまでの赴任地でお世話になった人々と生涯を共にできなかった自分自身の弱さを大変恥じてもいるところです。

うまく表現できないのですが、自分の心中に『山月記』の李徴のような虎になりかねない弱さ(功名心)があったようにも思います。それはこの職業に必要なことでありつつも、自分を闇に落とし込むような感情でもあり。ただ前職に留まっていれば、虎に変わっていたのかもしれないな、などと思ったりもしています。いえ、今の自分はすでに虎になってしまっているのかもしれないな、とも思います。

ともあれこの土地での1カ月が過ぎました。定年まであと10年弱、そしておそらく定年後も住み続けることになるこの土地で、虎に変わることなく日々を過ごしていければと思います。それは『深い河』の大津のような形なのか、または『エホバの顔を避けて』のヨナのような形なのかわかりませんが、自分の生き方を与えられた場所で考えていきたいと思います。

そして、虎に変わってしまうようなことがあるとしたら、李徴のように藪の中にさっと消えてしまいたいな、とも。研究・学会活動などにも少々疲れはてているのも事実なので、あとは退職に向けて緩やかに人生を閉じて行くだけなのだろうとも思います。

主の平和。