『霧の中の子どもたち』

ハー・レ・ジエム監督(2021)『霧の中の子どもたち』(原題:Children of the Mist)を視聴。ベトナムの黒モン族の誘拐婚を描いたドキュメンタリー作品。

モン族の誘拐婚については、博士論文で取り扱ったテーマだったが、誘拐婚が成立しないケース(無理矢理連れて行かないケース)についての記録は初見。・・・といっても映画中には、かなり強引に拉致しようとするシーンが登場する。

長年係わっているタイ、ラオスそしてアメリカに移住した青モン族・白モン族のケースとは大きく異なっているのはいうまでもないのだけれど、誘拐婚は半ば仕組まれた劇のようでもあり、小さい頃からその風景を見ていた子ども達にとって見慣れた風景としてままごと遊びの延長で演じられていたのが胸に迫る。

ままごととして演じていた誘拐婚の当事者に自分がならなければ、事の重要性に気付かない。

女性の権利がこういう形で今も軽視されていることは、モンの社会だけではないと思う。残念だけれども。

モン族研究の末席にいる人間として、言いたいこと、説明したいことは山ほどあるが、無粋なのでやめておきます。

主の平和。

追記

主人公の女性のその後はこちらに記載。