映画など
最近面白い映画がたくさんあり、『Pefect Days』『オッペンハイマー』『CALL JANE』を視聴。
『Perfect Days』は、役所広司が主演。ヴィム・ヴェンダース監督の作品で、細かい作り込みがすごい。日常の「単純な生活」をPerfectとして受け止める主人公の姿が印象的。トイレ清掃を生業とする日々と日々の生活との充実感のギャップを捉えたかったのだろうが、劇中での役所は・・・モテる。植物にも愛されていて、人生のどん底なのではなく、モテる人の話だと考えるとそりゃぁ日常は「Perfect」な「Days」であろうと思う。最後のシーンは、ハンドルを動かしすぎだろそれ、と突っ込んでしまった。同じく役所広司主演の『すばらしき世界』では、『Perfect Days』同様に小さなアパートですごす男の物語だが、『Pefect Days』とは異なる180度異なるとことん報われない男の生き様を描いているのだがこの両作品を見比べてみると面白いように思う。
『オッペンハイマー』は、原発開発者という国家の英雄でありながら、誤解されていたオッペンハイマーの名誉回復のプロセスが大筋。オッペンハイマーの苦悩は「もちろん」描かれているが、それは映画の大筋とは関係がない。ボンゴを叩くファインマンの姿など原爆に対する米国科学者の認識を良く示しているように思う。原爆の成功のために集まった人々が興奮したシーンはぞっとしたが、被害者の遺体を踏むシーンや審査会で死去した前妻とのシーンがでてくるが、あれは必要だったのだろうかと思う。時系列的にも、被害者の写真が届くのは原爆投下からかなり後のことであろうし、原爆被害のイメージをあの形でなければ表現できなかったのか。戦争のイメージ形成は、戦後に作られる。
『CALL JANE』をすごく雑に説明すると、アメリカにおける女性の堕胎手術が違法行為だった時代の女性解放運動を舞台にしたムービー。冒頭の手術シーンは僕はとても直視できなかったが、こういう処置を違法の施設で受けなくてはならなかった女性の気持ちはいかほどであったろうか。2時間のムービーにしては冗長なシーンも多かったように思う。主人公が違法の医者として振る舞うようになった葛藤はあまり描かれず、夫と隣人の未亡人のエピソードは、挿入的に入ってくるが、その後夫と女性については何も言及されない。重要なテーマで、題材はとても面白いのだが、少し残念であった。