2016年の雑感

今年もすばらしい一年だった。

今年嬉しかったことの一つは、タイで初めて自分の専門とする科目「少数民族と法」に関する授業を二つの大学で持つことが出来たこと。日本では開講される事のない授業なので、もう二度と僕の人生の中でこういう授業を行うことはないと思うととても感慨深い。また都城高専では正科生ではなく中学生を相手に、やはり少数民族と法に関する授業の導入を行うことができた。日本の大学の仕組みが決して良い方向には変わっていない中、各大学の基礎法学のコマも減る中で、自分の研究を次世代の学生に話せる機会を得られたのは貴重な経験だった。

子ども達とトロンボーンを介したコミュニケーションを取ることができたことも、とても嬉しいことだった。僕の右手については、お世話になっていたタイのお母さんもとても悔やんでいただけに、僕自身が初めて金管楽器をみて嬉しくてたまらなかったあの喜びを子どもたちも持ってくれたこともだし、お母さんが喜んでくれたのが嬉しかった。ペンは長時間握れないけれど、トロンボーンのスライドを握る握力が残っていたことは有り難いことだと思った。また、自分の研究を研究外でつながっている友人達に少しだけ見せることができたのも良い機会だった。20年近く関わりのある山地民NGOで、トロンボーンアンサンブルの演奏が出来たこともこれまたすばらしい体験だった。

短かった年末の帰省では、やはり忙しい毎日で、講演や出張をこなし、またツマへの罪滅ぼしやら、友人の新築祝いを兼ねた忘年会など、楽しい年末だった。

新年は元旦から早速仕事のため早々にチェンマイに戻り、今年最後の食事を、五木ひろしが歌う曲の流れるチェンマイの小さい日本食レストランでの「なんちゃって」和食でとる。僕の人生は全てがこんな「なんちゃって」の連続で、劇的なことはないが、平凡な毎日なのだと思う。そんなことを感謝しながら今年も終わり、2017年も同じようなペースで、生きて行ければと思う。

どうか皆様もよい一年をお過ごし下さい。