おもてなしの心とか考える

最近読んだ本の中で面白かったものの一つに川田修『かばんはハンカチの上に置きなさい』2009、ダイヤモンド社がある。プルデンシャル生命のトップセールスマンとなった川田氏のノウハウがつまっていて、非常に感銘を受けた。セールスの現場だけでなく、人間と人間が出会う場面でどのように相手の心をつかむような応対をするのか、具体的な方法はケースケースで違うものの、心のありようについて非常に具体的で好感が持てた。教員の中にはこういった書籍を相手にしない人もいるが、学生に対しても親に対しても誠心誠意を持って接することはとても重要だと思う。いやーセールスってすごい。早速黒ベルトの時計をオーダーするぐらい勉強になった。
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そんな気分で過ごしていた昨日の昼食時。フコク生命の外交員が研究室にアポなしセールス。
「いつ訪ねても留守なので、お会いできませんでした」
と開口一番の挨拶。もちろん初対面であり、まったく面識がないのはもちろんでこの対応にあんぐりとしてしまい返す言葉も見つからない。だがそれでもこのフロアが入室禁止エリアであることを告げ、追い出そうとすると「総務課でセールスの許可はもらっている」と嘘八百を並べる。
「それは嘘でしょ」、と指摘するがそれでもかたくなに拒否するので、階下の総務課に確認をとるとやはり許可など出しておらず、外交員の弁は「前任者が2年前に許可をもらっており、それを引き継いで許可されていると思った」と発言内容が大きく変わる。話を続ければ続けるほど不愉快になる。
こういう話題は書いていて楽しくない。こういう厳しい時代の中で売上高だけを競って手段を選ばないセールスは当たり前なんだろうか。こうした信用のない保険会社の商品をだれが契約するのかぜひフコク生命の意見を聞きたい。
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この夜は宮崎公立大学の有馬先生と食事の予定。自治体関係者の皆様ともお会いして、今年一年の反省などを。東国原県政について全国一の批評眼を持つ有馬先生の著書『東国原知事は宮崎をどう変えたか—マニフェスト型行政の挑戦 』ミネルヴァ書房は、法政大学社研の地方自治出版賞をとったということで、本当に嬉しそう。
その時自治体の方とお話をしたのだが、やはり東国原知事の県政には詳細は書けないのだが、自治体の方もいろいろと問題を感じているよう。
マニュフェストをかかげその到達度を成果として掲げる東国原県政のスタイルというのは、とても息苦しい気がする。目標値を定めて、それに到達するためならば手段を選ばないという手法はどうかと思う。選挙の公約であるマニュフェストはそりゃぁ守らないといけないのだとは思うが、実施の段階で柔軟に適応し、マニュフェストを変えていく柔軟さは欠けている。僕自身はかねてより「おもてなし」を掲げる東国原にいかがわしさを感じてならないのだが、その実情は宮崎にやってくるお客様のほうにむいてなく、金が宮崎におちればよいといういやらしさが見え隠れして、「おもてなし」とはほど遠いところにあるからだと思う。宮崎のモノがバカ売れすればそれでよいという発想は不愉快なセールスと同根だと思う。
県政もセールスも目標値を設定したらそのために手段は選ばない、というようなやり方がこの日本をますます息苦しくしているような気がする。