『朋遠方より来たるあり』
大学時代の友人との再会の一日。
昼過ぎに学部時代の同期の友人が人間ドックにはいるために実家のある都城にやってきた。ついでに、というので研究室に顔を出してもらう。教師として10年がんばってきている「先輩」の友人が人間ドックに入るという話を聞くと、自分もそろそろそういう年齢なんだなぁということを実感する。
ほぼ2年ぶりに長い時間をかけて話をしたのだが、話題が尽きない。中でも「去年は時給850円のファミレスのバイトをしていた自分のような人間が、研究室をもらってこうして一人前の生活をしている」ことが少しじんときたらしい。
・・・もっとも
「君のような人生はリスクが多いので、俺は歩まない」
ともいわれたが・・・。
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彼は僕の人生の中でもっとも貧乏だったころのことをよく知っている人間の一人で、もっとも落ち込んだ時期に支えてもらった人間の一人。大学卒業後、川原の土筆をとって食べていたくらい貧しかった時期を知っていた友人で、互いに大学院まで進み、彼は中学校の先生になり、偶然僕はアカデミックポストにつくことになった。
「いつまでも夢をおっかけている訳にはいかないよ」
といつも心配していてくれた彼には、コンピュータ会社への就職が決まったときには真っ先に連絡した。
アカデミックポストの就職事情はこの近年、ますます悪くなっている。以前紹介した博士が100人いる村は誇張されているけれど、文系に関してはとてもリアリティがあるし、ちょっと古いけれど選択をみると今の大学の多くが「いつつぶれてもおかしくない」ことにあることがよくわかる。いや、「選択」のレポートは2001年度のもので、現在はもっと厳しい状態になっているだろう。
ポストが見つかることは、本当に偶然だったんだと思う。
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夕方になり大学時代の後輩が長崎からやってくる。彼は学部時代に自主ゼミを開いて互いに議論を交わした好敵手。僕の議論のスタイル、社会科学に関する基礎は、この自主ゼミで培われた。
彼は現在某官庁のお役人。やはりこのふがいない先輩をずっと心配してくれていた人間の一人。就職を喜んでくれ、互いに今年一年を振り返る。
「でも、一年にトロンボーン3本は買いすぎ」
とクギを刺すことも忘れないが・・・。