ひさびさのステージ
顧問をさせていただいている吹奏楽部の引率で近くの小学校へ。
「星降るコンサート」と名付けられた小さな催しで、付近の音楽家が集まって皆楽しく演奏をする。
今回久しぶりに吹奏楽でステージに立つ。今まで適当にジャズバンドで舞台に立ってはいたものの、 吹奏楽で人前で演奏するのはもう15年ぶりだろうか。特に緊張するわけではないのだが、 それでもいつもの練習と異なりよけいな力が入ってしまう。
今回は、吹奏楽のオリジナル曲は一曲もなく、マジレンジャーやタイガー& ドラゴンといったテレビの主題歌などがメインだったこともあり、会場の反応はまずまずのようだった。
人前で演奏できるレベルにまでは、ちゃーんと右手もスライディングできるようになったのがとにかく嬉しい。あ、 こりゃ自己満足だ。音質ももっと向上させねば。
しかし、今回の演奏会でなにより感心したのは指揮者&指導者のS氏。今回は演奏者の一員として、曲の決定、練習、指導、 ゲネプロといった過程にずっと立ち会ってきたのだが、とにかく指導が立派で多くの学ぶ点があった。
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うちの学校には吹奏楽部の指導をする能力のある教員がいない。そんなわけで、外部から指導者のS氏を招いているのだが、 手弁当で指導をしてもらっているばかりか、とにかく学生を可愛がってもらっている。学生も兄のように慕い、はきはきと対応する。
正直なところ、現在の勤務校の授業内でこのような学生の姿を見たことはない。以前S氏と飲んだときに、 この関係を学生と構築するまでに5年近くの年月がかかったと教えてもらった。
なるほど、と思う。
4月に勤務したときは嬉しくてしょうがなかった学校の授業もやはりマンネリという最大の敵が登場し、 「このごろパワー落ちていませんか?」と学生に言われ、実は少々ショック。
力で押すだけの授業ではなく、もう少し「楽な」授業も目指さないとなぁと思う。 30代の今やっている授業が40代もできるとはかぎらないものなぁ。
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より充実したサウンドを作り出すためにS氏は厳しい指導を学生に行い、学生もそれに従う。 それはS氏が吹奏楽の魅力を十二分に学生に伝えているからできる芸当なのだろう。
そう考えたときに、レギュラーの授業で学生が騒がしいといった問題は、科目の魅力を十分に学生に伝えられていないからなのだと思う。
吹奏楽も、ジャズも、そして研究もする僕は「研究」の魅力を学生たちに伝えられているのだろうか。 そして教育者という名は僕などよりもS氏のほうがふさわしい。