狸小路

自宅で昼過ぎまで原稿を書いて、午後から横浜で書籍探し。『近代日本文学大系』がみつからず、何軒かまわってみる。

少し時間が早かったのだけれど、研究関係で嬉しいニュースもあって、ひさしぶりに狸小路のフライ屋に向かう。食欲がないときも、ここのフライだけはちゃんと(焼酎とセットで)胃に入るから不思議。ネタが新鮮で、オヤジさんの雰囲気もすばらしくファンも多い。そのため座れないことも多いお店。

そして一人でも気軽に行くことができるので(財布との相談ではあるんだけれど)すっかり顔なじみになった数少ない「いきつけ」の店。今日はアオダイのいいのが入ったとのことで早速いただく。ああ、ここにくると季節を感じることができるんだよなァ、と目を細める。それでも胃が小さくなったのか、少しだけのフライでもういっぱいいっぱいで、胃にはいらない。

舐めるように焼酎を飲み終え、店を出る。小雨がぱらつく横浜は肌寒くもうすっかり秋の気配。行き交う人々もみな長袖で、こういったところでも秋の到来を知る。

小雨が少し飲んでほてった身体に心地よく、小路のビルの谷間に見える暗闇を見上げる。こうして、ほんの少しの物事に救われながら僕の秋は、生活は過ぎていく。

今日も、たぶん明日も。