遠く遠く

ひさしぶりに風邪をひいてダウン。インスタントのジョーク(タイ風の粥)をすする。無難な食事をとり、ベッドに横たわる。ひさしぶりにゆっくりと寝る。

10時頃、目が覚めてベランダから外を眺める。このチェンマイのこのアパートにも満月の光が降り注ぐ。犬の遠吠えが聞こえる。ハイウェイを通り過ぎる車の音が聞こえる。階下の駐車場では、若者が酒盛りをしている。

太陽の光はタイでは暑いだけの忌み嫌われるものだが、月の光は優しく、この街の人々を包み込んでいる。

そして・・・モン族の新年がスタートで、山の中で祭りが進んでいるはずだ。こんな肝心な時にまだチェンマイ市内から脱出できない自分が恨めしいが、それでもとにかく、山の中で静かに進行しているであろう祭りを想像する。

山の中からも月は見えるだろう。チェンマイからも、日本からも、世界中のどこからも。そのおかげで世界中のどこにいても、僕はこうしてまだ見ぬ土地や、恋しい場所や人を想い出すことができる。