自分が好きなミュージシャンとバンドを組めるとしたら、どんなメンツにする? (まちおん連載3回目)

Blues Brothers

今回はなんと、大変おこがましい企画である。自分の好きなミュージシャンは、もちろん自分より演奏技術はもちろん魅力が遙かに上であることは当然であり、そんなメンバーを差し置いて自分が演奏するのはファンとしては大変申し訳ないし、「そんなこと想像できない」というのがファンというものである。でも、それでも敢えてバンドを組めるとしたら「Blues Brothers Band(ブルース・ブラザーズ・バンド)」のすみっこで、ジャガジャガ、トロンボーンを演奏したい。そして、ばかばかしいコントをしたいなぁと思う。

「あれ、今回のお題はバンドじゃないの?」と思われる方もいるだろうが、Blues Brothersはアメリカのバラエティ番組Saturday Night Live(以下SNL:1975-現在)のコーナーから誕生する。『8時だヨ!全員集合』や『おれたちひょうきん族』のようなものだと思えば当たらずも遠からずだと思う。当時のSNLはYoutubeに動画がアップロードされていて確認してもらうとわかると思うんだけれど、やっていることはまるで『8時だヨ!全員集合』、『ひょうきん族』とテイスト的には近く、そのコントの内容は非常にくだらない。くだらないんだけれど、このくだらなさがたまらない。

・当時人気があったStar Trekのパロディ

そして、1970年代のSNLの中でもJohn Adam Belushi(ジョン・ベルーシ:コントの中での役名は、通称「ジェイク」Joliet Jake Blues)、Daniel Edward "Dan" Aykroyd(ダン・エイクロイド:コントの中での役名は、通称「エルウッド」Elwood Blues)の二人を中心に組まれたBlues Brothersは大変な人気を誇っていた。『おれたちひょうきん族』におけるたけしとさんま的なポジションだろうか。この二人を中心に組まれたバンドがBlues Brothers Bandで、番組内の一コーナーにすぎなかった。

・Saturday Night Live内での演奏

で、これがライブ録音盤。
・The Blues Brothers 1979.04.23 Radio and Records Convention Los Angeles, California (Pro - Shot)

その後1980年には『Bules Brothers』として映画化され、James Brown、Cab Calloway、John Lee Hooker、Aretha Franklin、Ray Charlesなどそうそうたるメンバーが出演し、日本でも大ヒットする。

・The Blues Brothers (1980) - Everybody Needs Somebody to Love Scene (6/9) | Movieclips

ライブも映画も全編を通して、めちゃくちゃ格好いい。こんな人たちに「一緒に演奏しない?」なんて言われたら、今やっている仕事、例えば、「ソウル・フード屋の経営」なんて投げ出してバンドメンバーになるのもうなずける(これは「映画版」の中で、ソウル・フード屋を経営するMatt "Guitar" Murphyが、妻を演じるAretha Franklinになじられるシーンが登場する。名曲「Think!」がこの時使われている)。

・Aretha Franklin - Think (feat. The Blues Brothers) - 1080p Full HD

※当時の時代背景もあり(<決して肯定しません)、女性に対する侮蔑的な発言も台詞として入っているのでそこはご注意を。またアレサ・フランクリンは2018年に亡くなり、テレビで報道されたので記憶にある人も多いのではないか。

ジェイクとエルウッドが職場にやってきて、「一緒に演奏しようぜ!」なんていわれたら、後先考えず付いていきたいと思う。誘われた帰結が、Jailhouse(刑務所)であったとしても。

・The Blues Brothers: The Jailhouse Rock (HD CLIP)

なおBlues Brothers Bandメンバーのトロンボーン担当はTom "Bones" Maloneで、今も現役で活動中だ。1970年当時の美しいトーンは健在。僕などが到達することなど当然構わない高みのサウンドだ。

・Nite Show Highlight: Tom "Bones" Malone Performs

残念ながらベルーシは1982年に他界し、1998年には「ファンとしては本当に残念な」と言わざるえない『Blues Brothers 2000』が製作される。この映画については・・・何も言うまい。

Blues Brothersからの「一緒にバンドを組みたい」というお誘いは永遠に来ない。が、そんなことがあったらなぁ、という「来ない明日」を夢見て、しがない高専教員はなぜだかトロンボーンを吹くのでありました。

(追記)
この記事を書いている2021年10月15日にビッグニュースがはいってきた。2021年12月にジョン・ベルーシの伝記映画が日本でも公開されることがリリースされた。宮崎での公開状況は不明。

映画『BELUSHI』公式サイト