今年最後のコンサート

今年最後のコンサートが無事に終了。
今回は所属する合唱団クリスタルコールの定期演奏会。谷川俊太郎先生の詩に松下耕先生が曲をつけた組曲『信じる』がメイン。高嶋先生のご指導にどれだけ合唱団が耐えうるか不安ではあったものの、みんなで取り組んだだけあって最終曲では大半がぼろ泣きで歌い終える。
僕はというと、先週から体調が悪く最悪の状態で取り組んでいたのだが、「信じる」の転調した部分で急にこみ上げるものがあり、泣いて泣いて何も見えなくなってしまった。演奏は反省点も多かったけれど、今できる最高の演奏をすることができた(ハズ)。
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クリスタルコールの特徴は、第一に年齢が20代から70代までとその幅広い年齢層にある。これだけ年齢が離れると声の質も違えば音量も、またモチベーションも違う。僕などは吹奏楽の市民楽団などで言えばとっくにロートル部隊に入りそうなものなのだが、残念なことにこの団の男性では最年少。それは素直に喜んでいい話題なのかもしれない。だが、今日の日本各地の合唱団が直面している高齢化社会の問題と、20-30代の男性・女性を問わず1週間のうちに1度も歌や合唱に親しむ時間を持てないという現代の労働環境の問題から見るならばむしろ悲しむべき話題であるのかもしれない。
ハーバマス的な公共圏の誕生の裏にあるミサのコミュニケーション(ともに分かち合う)で進化した合唱は、言わば「う(生)・たう(問う)」(つまり我々が存在している意義を問う)という思いを歌というコミュニケーションを介して伝える芸術であったのに、もはや私たちの国はそういった余裕がなくあんってしまったのかもしれない。
今回のコンサートの大成功の裏で、来年以降のコンサートのことを考えると今の日本で「唄をうたう」という行為のその先に一抹の不安を感じたのも事実だ。仮に合唱が廃れてしまうような自体が(たとえば合唱曲が音楽の教科書から消え、全国各地の合唱団が消え去っても)あったとしても、この日本では時間だけが過ぎていってしまうのだろうか。