散歩や部屋でヘビロテする今日のプレイリスト10曲(まちおん連載6回目)

樋口了一

今回のお題もちょっと難しい。「プレイリスト」という概念がサブスクリプション(Amazon Prime Music、Youtube Premium、Apple Music、Spotify)全盛になり、「アルバム単位で曲を購入する」とか、「お気に入りの曲」を集めることがなくなった。現在はAIが自動的に「こんな曲聴きたいんでしょ?」と提案することが多くなったので、それをひたすらBGMとして流すのみで、そこには特に思想性はなく、「聴きたいわけ」でもなく、「聞こえてくる」音楽ばかりになってしまった。

またプレイリストによってまとめられた曲は、辛い人の心に響く曲と、幸せな人の心に響く曲と、ゴールを迎えようとする人の心に響く曲は勿論違うし、演奏者の好き嫌いが反映されるので、きっと僕が選んだ演奏者のリストは、「僕にとっての」お気に入り以上の存在にはなりえない。わかってる。わかっているんだけれど、お気に入りの曲だけを収めたカセットテープやMDのプレイリストを作るという経験はあれは一つの文化として、「どうやってセレクションするか」という耳を鍛える練習にもなっていたのだなぁ、とも思う。

01 つじあやの「君に会いにいきましょう」
02 樋口了一「1/6の夢旅人」
03 小沢健二「ぼくらが旅に出る理由」
04 スピッツ「楓」
05 エレファントカシマシ「今宵の月のように」
06 モダンチョキチョキズ「自転車に乗って、」
07 平井堅「思いがかさなるその前に…」
08 遊佐未森「暮れてゆく空は」
09 斉藤和義「歩いて帰ろう」
10 福原希己江「たいやき」

このなかで特に推したい曲として、以下の2曲を。

・遊佐未森(1989)「暮れてゆく空は」
1984年に「PATi PATi」というCBS・ソニー出版から発売されていたグラビアと音楽雑誌が融合したような雑誌が新創刊された(2013年廃刊)。当時のバンドブームを背景に急速に発行部数を延ばし、インターネットなど家庭にとどなかった90年代発売されるCDの音と演奏するアーティストの姿を繋ぐ雑誌として重宝されていた。そんな中で登場したのが1988年デビューの遊佐未森だった。少し前に流行った森ガールを先取りしたようなルックスでとても透明感に溢れた声でファンも大変多かったように思う。またCMでも多く起用されていて、カップヌードルのCMソングも歌っていた。中でもこの「暮れてゆく空は」は冒頭から曲の終わりまでの歌詞の世界が、一つの絵画作品を見るような仕上がりで、一つ一つの情景が目に浮かぶ。この詩は工藤順子さんの作詞によるものなのだが、その世界観が遊佐未森の声ととても合っていて、この歌詞の世界を一度青春まっただ中の学生達に(またはかつて青春まっただ中を生きてきた人たちに)聴いて貰えたらと思う。

・福原希己江(2011)「たいやき」
福原希己江さんの曲を初めて聴いたのは、ドラマ『深夜食堂』の挿入歌だった。このドラマでは小林薫が演じるマスターが営業する「深夜食堂」にやってくるお客さんの人生の喜怒哀楽がオムニバス形式に語られる。2015年、2016年と続けて映画化もされ、海外でも現地語版として韓国では2015年、中国では2017年にドラマが放映された。そのオリジナル版テレビ版に絶妙なタイミングで流れてくるのが福原希己江さんの挿入歌で、画面の中の登場人物達の思いをまた別の言葉を用いて、ギターにのせて語りかけてくれるようだった。「たいやき」はアルバム『おいしいうた』の一曲。ギターの一音一音と紡ぎ出される声の一つ一つが独特の世界観で、これもまた帰り道にたいやきをかじりながら、ふと「あのひとのこと」やいろんなことを考えながら帰路に着く夕暮れの風景が見えるよう。

てなわけで、いちおうYoutubeリスト作ってみました

最後の福原希己江「たいやき」はYoutubeの公式ページに上がっていなかったので、ぜひ購入して聴いてみて下さい。我ながら、「あー平成期に人生のど真ん中を生きてきたなぁ」という選曲で申し訳ない。

トータルで43分、通勤・登校の帰りにぜひ。

富山大学学術研究部教育研究推進系准教授

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