Tropical Trombonesコンサートを終えて

昨年から本格的に音楽学の研究領域に足を踏み入れた。細分化するならば、「音楽を演奏することによって産まれるコミュニティの研究」というところで、社会人吹奏楽、特に海外でマイノリティとして生きる邦人社会で続々と誕生している吹奏楽団の研究をすることになる。幸いなことに昨年度日本音楽学会で発表が採択され、まずまずのコメントを関係研究者からいただいたので、研究の方向性としてはまず間違えてないだろうと思う。

その研究の一環、、、というのはウソで完全に自分の趣味で、4月9日(日)にシンガポールで開催されたTropical Trombonesのコンサートに出演してきた。これは東南アジアに広く展開されている邦人吹奏楽団のトロンボーンプレイヤーが集まって結成されたトロンボーンアンサンブルチームで、今回はシンガポール、タイ、ミャンマー、ベトナムからの8名のメンバーで実施された。言い出しっぺはバンコクの吹奏楽でお世話になったS君、Sさん、そしてシンガポールのF君といった面々で、こんな企画をよく立ち上げたなぁ、と素直に感動する。そしてその呼びかけに各地のみなさんもよく呼応したな、とも思う。もちろん僕自身も参加者の一人ではあるのだが、そこには「人と繋がりたい」という切なる思いが見え隠れするように感じた。

良くも悪くも「吹奏楽は集まりやすい」メディアとして機能しているのだろう。そして僕もまた「集まりやすい」メディアに吸い寄せられて、つながろうとする日本人の一人なのだろうと自覚する。「人はなぜ音楽を演奏するのか」という問いかけを「人はなぜ音楽(特に吹奏楽)を媒介として集うのか」という問いに置き換えてはじめた研究は、まだまだ始めたばかりで難題が多い。そして、端から見ていて肝心の当事者には見えないことも多いのだなぁ、と思うところも多々ある。それも含めて吹奏楽の世界も人間の社会だなぁと思うのだった。

さて、そうした参与観察者としての視点は横に置くとして、肝心の演奏はというと実に反省点が多かった。合わせる時間が極端に少なかったとはいえ、自分の実力不足を見せつけられる反省の多い演奏会となった。もともと上吹きだったのだが、諸事情でバストロを持つようになり、以降定着しているが特にペダルトーンをppで吹くことなどはまだまだ難しいと痛感した。市民楽団ではマルチプレイヤーであることは貴重なのだけれども、それ以上に自分の「マルチプレイヤーとしての幅を広げなくては」、と思い知らされる一日であった。

研究も演奏技術も日々精進であることを思い知る。

関連記事

  1. 阿部謹也自伝

Latest Article

  1. 2017.08.17

    ヨブのように

Twitter

PAGE TOP