アップし忘れたネタ その2 金で解決

ホリエモンが逮捕された。いや、逮捕っていってもまだ起訴されたわけではないし、捜査の詳細がわからない段階でコメントはすべきではないとも思うので、特に彼のやったことを非難することはできません。

が、ひとつだけ思うところはあり、これだけ書きます。

「金で人の心は買える」という発言をホリエモンがしていたというのが連日紹介されて、「やはりホリエモンはその程度の人間だ」というコメントが多いことです。

・・・ええ、そう思います。そう、思いますとも。金で人の心は買えません。でも「ホリエモンは『金で人の心を買える』と思っていた」という言説が流布するのはとてもいやなのです。

たしかに、身の回りに実は「金で人の心は買える」と公言している人は多いです。知人の家では「カネですむことならすべて金で済ます」というのが家訓でしたし、『金色夜叉』なんか読むと、そう思っている人は明治時代からいたのだなぁとわかります。

しかしそれでも、思うのはですね
「ホリエモンは『金で人の心は買える』と著書に書いている」
ということで、
「ああ、ホリエモンは僕らの意識とはかけ離れたまるで『宇宙人』みたいなもんなんだなぁ」
と、いう形で「俺ら(ふつうの)人とは異なるヘンな人」といいたいだけなんちゃうんかと思うわけです。

でもてこういう発想は、
「ああ、今回の事件はホリエモンという僕らと違った感覚、違ったニンゲン、いや違ったドウブツの起こした事件なんだなぁ」
というところに帰結するような気がするのです。

こんな発想一番嫌いです。宮崎勤もですし、オウムもですし、今までのさまざまな問題を起こした人たちを「われわれと異なるモノ」と片付けてしまうのでは、「なぜそういった事件が生じるのか、なぜホリエモンが生まれたのか」ということがわからないままだと思う。

ホリエモンはよく使われる言葉のとおりまさしく「時代の寵児」で、彼が特別なんじゃない。人間はとても弱く、カネや酒や麻薬の力に頼るときもあれば、俺のように宗教に頼る人間もいるわけで、今回の事件を「ホリエモンという特殊な人」の事件に矮小化してしまうのは問題の本質を明らかにしないままだと思うのです。

誰の心の中にも「ホリエモン」はいます。