ソンクラーン後

ソンクラーンが終わり、やっと平常運転にもどったチェンマイ大学にお勉強のため移動。そののち某所にて、ヴェトナムとラオスのモン族を研究している研究者の方々と会談。まるで国際会議の様相。お二人とも、僕から見たら人生の大先輩にあたるような年齢であったが、社会学をベースに僕がモン族の村にはいろうとしている、という話をするとえらく興味を持ってくれて、話が大いにもりあがる。お二人とも出目が文化人類学で、社会学の理論には興味があるけれど、特に触れずにすごしてきた、というお話しだった。(無論基礎的なお話しは知っていた上で)特にハーバマス以降の社会学の流れについて話題が少し出たとき(ルーマン、ブルヂュー、そして構築主義(Constructionism)など)に、「聞いたこともない」という反応がでてきたのが、少々驚きだった。

言われてみればアメリカでフランクフルト学派が再評価されたのはここ数年のことであるし、ルーマンに関しては、英米圏ではそれほど読まれていないし、ラオス、ベトナムでは入手が不可能なのだろうか、と思ったりした。僕はドイツ語は読めないけれど、日本だとドイツ語、フランス語を使える学者層というのが確実にいて、ちゃんと翻訳されるし、出版事情も格段に良い。

もちろん、その一方で多くの示唆をもらったことも事実で、サスキア・サッセンのある作品について、「おまえはこんな作品も読んでいないのか」と言われ、互いの学問のバックグラウンドの違いをさまざまと感じる。

それとは別に、史的唯物論について話題が及んだときに、一人の研究者が、モン族の歴史を「すべての歴史は階級闘争の歴史である」というテーゼとどう当てはめるか考えあぐねているといったのが興味深かった。つまり、結論はそこにもっていくことだけはきまっているそうだ。さすがにそれはもう一人の研究者からもつっこみが入ったが、それぞれのお国柄を反映しているようで、おもしろかった。