研修

つい最近まで知らなかったのだが、高等教育機関には「研修」という制度があるそうな。「研修」といっても、一カ所に集まってなんだかんだとセミナー式に何かを学ぶのではなく、出張旅費などは出ないけれど、勤務時間内で他大学の研究会などにばんばん参加できる制度なのだ。

「ほお、そんな便利な制度があるのか」

と思っていた矢先、他大学(母校)のI先生から研究会のお誘いが。

早速覚えたての「研修」制度を使って母校にはせ参じる。しかも、今回は恩師の研究グループにまぜてもらっているので、「ああ、俺も先生方と同じテーブルに着けるぐらいに学問を重ねてきたんだなぁ」などと思う。

研究会を大変有意義に終えた後、I先生と一献傾ける。師匠は飲みながら食べ、食べながら飲み、とにかく「話を肴に酒を飲む」人なのだが、一通り酒を飲んだ後師匠の帰宅するバスを待つ際バス停の近くの会談に二人で腰を下ろして、さらにゆっくりと話をした。

酒を飲みながら話をするのもいいもんだが、こうやってバスを待ちながら、路上で座って待つのもなかなかいいものだと思った。
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さて、その後、アルコールを口にしたため車の運転ができず、ホテルに宿泊しようとしたのだが、定宿のホテルがすでに満杯。そのため、車の中で寝ることに。

車の中での寝心地はさほど悪くなかったものの、なぜか亡くなった祖父の夢を見て何度か目覚める。

死んでしまったじいさんが、にこにこと笑っている夢だった。

いろいろと考えたのだが、「じいさんっこ」だった僕は、師匠と研究パートナーになれたことをじいさんに報告したかったのだと思う。偉くはなっていないし、まだまだ稼ぎも少ないけれど、生前なんのお礼もできなかったじいさんに姿を見せたかったのだと思う。

そう気が付いたとき、とても切なくなって一日のスタートの明け方にちょっと泣いてしまった。