チョーク芸者

このところ学生さんの来室が多い我が研究室。

恋愛の話やら、信仰の話やら、就職の話やら、勉強の話やら(<順位としては最後ですが)学生さんが持ってきてくれる。

加えてこの時期は授業評価があるのだが、数値データとして返ってきた値を見る限りでは、まずまずの支持率のようで、

「法とはなぁ、愛だ愛」
(ごめん、みっちゃん『法=愛』論を借りました。ちゃんと出典は教えていますのでご勘弁を)

とか、無茶苦茶なことをしている授業なのに、満足度ばかりでなく、実際の理解度も高いようでほっとする。

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研究業界には「チョーク芸者」という言葉がある。この言葉には「大学の研究者のくせに、 研究もせずに学生にコビを売って授業をしている」という揶揄が含まれている。

そういう言い方をするならば、僕は確実に「チョーク芸者」なのだと思う。学生にゴマをすって授業をしているわけではないけれど、 学生が理解してくれるなら、どんな飛び道具でも使おうと思うし、実際使っているし。

「満足か?」と言われたら、答えに窮するけれど、今はそれでいいのだとも思う。

誠実に接することぐらいしか、僕には取り柄がないのだということもやっとわかった。

こういう僕は「研究者」というのにはほど遠いのだと思う。それはうすうす気づいていたし、新分野を開発できるだけの力もないし、 師事して頂いていた師匠と話をする度に自分の無能さを痛感していたりもする。

研究者としては出世しないだろうし、立派な業績も残せないだろうと思う。

でも、学生と向かい合うことだけでも負けない教師になろうと思う。

人間として、向かい合おうと思う。

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今一年目ですが、ここで残りの人生を送るのも悪くないんじゃないだろうかと思いはじめています。

・・・などと書いた後で、気分良く昼食のため外に出た。N先生おすすめのラーメン屋さんに行き部屋に戻ってきて、タオルで汗を拭いたのだが、「犬のにおい」がした。 俺は犬のにおいは嫌いじゃない、とそんな感じだったのだが、、、 実はこの2,3日、会う人会う人から 「ゴンタ先生顔色悪いんじゃないですか?」と言われる。 実にその通りで、このところ体調不良が続いている。Dog Lifeというチャップリンの映画があったが、実際の生活は精神面の充実とは裏腹に、「犬の生活」だと思う。あかんなぁ。