羨ましい仕事

この地域でもとうとう季節は冬を迎えつつある。

毎年のことなのだが、星空を眺めてそんな季節の到来を思う。冬を迎える空はその乾燥した空気のせいでとても美しく、早朝や深夜に星空を眺めながらこの小さな星に生き、そしてさらにちっぽけな自分の姿を再確認することで僕は季節が冬であると同時に自分の存在を再確認することができる。

感謝すべきことであると思う。

高専では体育祭、文化祭と学校行事が続く中、学生指導部というポジションにいるため、星のでる時間に学校に向かい、星が出ている時間に自宅に戻る日々が続いていた。高専の学生にとって体育祭、文化祭は一年を通じた大きなイベントであるだけでなく、文化祭で発表する4年生の研究発表と1年生の舞台発表は、在学期間を通しての大イベントである。その準備も非常に入念で、担当学科の教員は半年以上の時間をかけ学生に研究指導を行い、また1年生も一ヶ月近くの練習をくり返す。何よりもどの学年・学科も教員の指導以上のアウトプットを出してくれる。本当にすばらしい発表であった。まずはそのことをほめたい。

今回の文化祭ではかつて僕が担任をしていたことのある学生が最後の挨拶で感極まって泣いていた。これだけのイベントを成功させた裏方の学生にも賛辞を送りたい。

感極まった学生の涙を見ることができ、それに立ち会えるというのは教員の特権だと思う。もちろん表舞台に出てこない学生はもちろん教員も涙が出そうになるほど感激していたと思う。本当に素晴らしかった。中身だけじゃなく、同じ方向を向いて(または向かわせて)一つのことをやりとげる苦労と喜びを学生が知り、そういった経験を学生がやりとげて感動する風景に教員もまた感動をする。そんな繰り返しが学生を学生たらしめ、教員を教員たらしめているのだろうと思う。

学生が後片付けをする中、他の学生指導部の教員と夜空の下、学生のダンスパーティーが終わるのを待つ。空には少し雲が残っているが、星が多い冬の到来を感じさせる空だ。学生指導部の先生と他愛のない話をする。

彼のところにかつて努めていた企業の上司から電話が来たらしい。

「○○君、今どうしている?」

というかつての上司の問いに

「体育祭やら、文化祭やらの準備で大変ですよ」

と彼は答えたそうだ。するとその上司は

「体育祭や文化祭の準備か、、、羨ましい仕事だね」

といったとのこと。忙しいことで有名な彼の会社の上司の台詞は嫌みなしの本音なんだろう。学生が感動する瞬間に見せるあの喜びの姿を見ている僕らまで幸せな気分になる、こんな経験をさせてもらえる度にこの学校にきて良かったなぁと思う。

・・・もう少しお給料をあげてくれれば更に言うことはないのだけれど。(笑)

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