白菜の漬け物と書籍とウィトゲンシュタイン

1週間が過ぎたのでカミングアウトするのだが、今年の料理の課題は「弁当」。意志を明確にするために最近ちょっと高めの曲げわっぱの弁当箱を購入。典型的な「弁当男子」となっており、小さなお弁当にいろいろつめて出かけることが多くなった。曲げわっぱの弁当箱は現在のタッパーウェアのように気密性が高くないため、水分の多いおかずをどうするかが難問。
で、まよった結果自分で白菜の漬け物を作り空いたスペースにつめることが多い。2日ほど天日に干すと白菜はほどよく甘くなり、十分に水を切って弁当箱に詰めるとそれだけで十分に美味しいおかずになる。この数日の休みの期間は晴天が続いており、一緒につけるゆずの香りにほんわかしつつのんびりと午前中をかけて塩漬け作業まで無事に終了する。
さて漬け物作業を無事に終え研究作業のため研究室に移動。アジア法に関する書籍が数冊出版されておりそのフォローに時間を費やす。なかでも感動した書籍があったので少し紹介を。

鮎京正訓編(2009)『アジア法ガイドブック』名古屋大学出版会は、昨年のうちに届いていたものの自分の研究に関係する部分しか読んでいなかったので、再度確認かねがね他地域の箇所を読む。特筆すべきは第8章のタイの部分で、高知短大の西澤先生の執筆によるもの。タイの法制度に関しては日本では安田先生の編集した書籍で扱われてきたが、1)タイ語の法・勅令に関する訳語の策定についての詳細な考察(外国法ではまず直面する問題なのです)を扱っていることと、2)2007年新憲法施行後の法制度を取り扱っている、という点で、希有の出来。タイ国内ではChulalongkorn Law Reviewなどの学会誌でタイの法制度史に関する文献が散見されてはいるのだが、日本での入手は難しく、まったくの初学者が理解するのは難しいと思われる。少なくともタイ法について日本人がはじめに学ぶべき決定版が出たと思う。
たぶんこの書籍を読んだ若手タイ法研究者は感激し、同時に悔しさを感じたのではないだろうか。この手のガイドブックは「だれでも書けそうで、その実だれそれと書けない」書籍の代表だからだ。奮起せねば。

時折読み返す『論考』で、ウィトゲンシュタイン哲学の到達点の一つ(決して全てではない!)は、
「人生はたった一瞬でも「生きてて良かった」という瞬間があれば、その人生には意味がある」
ということにあると感じる。今日も一つ「生きてて良かった」と浅漬けの白菜をぽりぽりと食しながら、刺激的な書籍を読む冬のこのごろなのである。

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