就職する一人と一匹

鹿児島からやってきた友人とファイルメーカーの勉強をした後、家庭教師先へと向かう。2時間ほど指導をした後で一休みしていると、第一志望の会社から携帯電話に連絡があり、正社員待遇での就職が決まったことを告げられる。その場で内定を受ける旨を伝え、家庭教師先のご家族から祝って頂く。

内定を何社からか頂いたことも感謝だし、今までの経験をキャリアとして認めてくれたことにもただただ感謝で、ベストの選択をすることができたと思う。

思えば今日の決定をもらうまでつらい毎日の連続だった。もちろんこれで終わりでなく、まだまだつらい日は続くだろう。
今日から楽に眠れるだろうか。去年から長く続いてきた落ち込んでた日々も上向いてくるだろうか。人を憎むことから少しは解放されるだろうか。自分に優しくなれるだろうか。・・・考えるとどれもまたキリがない。

ただ、 今も時折苦しくてしょうがないときもあるけれど、とりあえずはベストの形で次の一歩を踏み出すことができそうだ。その都度その都度の瞬間で最上の方法を尽くすことができたことに、誠実に対応できたことに今は感謝しよう。そしてこれからも誠実に生きることができますように。
そしてこれからの僕の人生でもベストを尽くせるようにただただ祈ろう。


神よ、
変えられぬものを 受け入れる謙虚さを、
変えられるものを 変える勇気を、
そして、
それらを 見分ける 叡智を
与えたまえ
ラインホルト・ニーバーの祈り

===
家庭教師から帰宅後、Oさんとささやかな祝杯をあげる。ひとしきり食べて飲んだあとで、いつものノラが鳴き声をあげ、我が家を訪れたことを告げる。

ドアを開け、昨日同様に向かい入れたノラは明らかに違う点が一つあった。

今日のノラは赤のチェックの真新しい首輪をつけていた。
「彼女も就職したんだね」とOさんがつぶやく。

漆黒の毛につつまれたノラがじっと僕を見る。ああ、また振られたか、と思う(笑)も、偶然にしてはできすぎた話なのだが、心配の種だったこの子の面倒をだれかが見てくれることになったことに安堵する。

そう考えると、昨日彼女の目前に置いた鶏の唐揚げを食べなかったのも合点がいく。我が家で彼女の食事をあげることを控えなくては。

闇の中で瞳孔が開いたノラの瞳を見ているととても切ないけれど、 もうこの子のために魚を焼くこともない。彼女を心配する飼い主ができたのだ。そして、僕がこの部屋にとどまる理由も本当になくなってしまった。4月には都内での生活も始まるだろう。

一つの事柄がいい方向へと動き出すと、不思議とすべての事柄がいい方向へ向かい出す。去年の状況が嘘のようで、苦しいこともまだまだ多いが、旅立ちに向かってすべてが用意されていく。春は近い。

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