小谷野敦『帰ってきたもてない男』ちくま新書

やっと本日入手しました。以前も書きましたが、 やっぱり小谷野先生はすばらしいです。ケンカを学ぶなら、ぜひ小谷野先生のところに!

論理は至極明快ですが、中でも上野千鶴子批判がペン先鋭いです。

「一見個人的な問題に見えるものが、実は政治的な問題であった」というのが、ラディカル・ フェミニズムの問題提起であったのに、なぜに「もてる/もてない」 という一見個人的な問題も政治的な問題としてみようとする視点を持てないのか (小谷野は十分に政治的な問題として存在していることを本書の中で説明している)、 というのがその批判の骨子で実にシャープな切り口で書かれていて、時間を忘れてほぅほぅと読みました。

とてもこんなブログでネタバレさせるのがもったいないので、前作『もてない男』とセットでぜひお読みくださいませ。 前作は授業の中でも何度かとりあげたのですが、今回はさらにシャープになっていて、小谷野とこの本の支持者を 「女性に対して劣等感を持った人々」としか捉えられないというやつは、中身をまったく読んでいないオオバカ野郎と思います。

ちなみに、後書きで、小谷野が自分のパートナーを紙上求婚しているのですが、これもとてもすばらしいです。その条件は7つなのですが、 中でも「古典的なもので、『源氏物語』ぐらい一般教養として原文ないし、現代語訳で読んでいること、シェイクスピアも翻訳でいいから5, 6点は読んでいること、谷崎や川端が好きというのが望ましく・・・」というのがおいら的にも「そうそう、 教養って最低でもこれぐらいを指してるんだよね」とぐっときました。あ、結婚相手にというのではなく、例えば社会科学者だったら、 西洋哲学史の概要とヴェーバーとポパーぐらいはちゃんと理解していないとまずいんじゃないだろうかとか。冗談ではなく、大学院生でこれらの 学者としての教養がない人はとても多いと思うのです。

てなことを考えながら今日も点滴を受けたのですが、右手の注射針がいつのまにかはずれてしまっていて、 シーツが真っ赤に染まっていました。それを見たとき

「今夜はレバーにしよう」

と、とても前向きな発想で、夜の食事を決めたわたくしです。

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