タイの知財教育について

今回の1年間の在外研究において、僕は少なくとも一本の論文を書くことが課せられている。それは、「タイの知財教育をめぐる状況」について現状をまとめあげることで、例えば日系現地企業で働く人々にとってどの程度の知財が必要か、またはどの程度知財教育を行えば良いのか、調査し、報告するという義務があるのだった。

そうした目的のため、今回JETROバンコク事務所、HIDAなどを回り専門家の方々と意見交換をしたのだが、会う人会う人「タイでの知財教育は時期尚早」というリアクション。

実は日本を出る段階でそれを裏付けるデータもたくさん手に入れており、想定内のリアクションではあった。何よりも日本の知財教育が現状で不十分という感想を持っており、すでにそういう発表も行っていた。加えてタイでは知財教育以前に「知財」そのものの扱いについて軽視されていて、日本やシンガポールなどとは異なり、知財教育以前の問題として、どのように知財マインドを国民が持つことができるか、という問題のほうがこの国でまず向かい合わなくてはならない話題だったりする。

「自らが創造的な製品を作り上げて権利化する」という創造−権利化のプロセスについて、タイでは重要性が与えられていない。PCT条約による海外特許の移転といったものがメインであって、タイでは「創造的な技術者が知財を取得する」ことに対するニーズが極めて薄いのだと、インタビューを通して思い知らされることになる。

と、すると、、、あれですかね、「タイでの知財教育はまだ時期尚早」という結論で、「タイでの1年間の仕事は終わり」ということになるのだろうか。いや、たぶんそういう報告書を書いたら、本当にクビが飛ぶと思うので、もっと広げてASEANとの関連の中でこの現象を捉え、その構造的な仕組みにも言及していこうと思う。「知財が必要とされない国で、どのように知財を論じるか」というのは難問であるが、手がかりとしていくつかの基礎データが入手できたので、あとはひたすら読み込んで、これから生じるであろうクエスチョンに答えていきたいと思う。

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