キンキンに冷えたビールで読む雑誌

ご縁をいただき、現在訪問研究員として末席を汚させていただいている宮崎地方自治研究所から『月刊自治研』が届く。事務局長Sさんの細やかな心づかいが溢れる送付レターには、いつもクスッと笑ったり、また考えさせられることが多い。しかしいつもレターの末尾には、「お楽しみください」と書き添えられている。実際、今号も興味を惹く内容で、Sさんのオススメは「キンキンに冷えたビール」なのだけれどぬるい麦茶でこの夏の号を読み終える。決して「楽しめる」内容ではなく、シビアなトピックばかりなのだけれど、社会問題のあれこれと「向かい合う」ために襟を正して読むことが多い。

今号の特集は「命を選別しない社会へ」。先日の京都での自殺幇助の事件とタイミング的には哀しいことにばっちりで、NPOや自治体職員がどのようにこの問題に取り組んでいるのかわかり、大変参考になった。特にNPO法人の理事長である奥田知志牧師の相模原やまゆり園事件植松被告との面会のやりとりも胸に迫るものがあった。

現在発売中の雑誌のため転載は控えるが、「役にたたない」と植松被告は障害者の方々を断定し殺害に至る。しかし、総理大臣に手紙を書き、自分の行為を正当化し「役に立つ存在である」とアピールする彼こそが、それまでの人生の中で自身を「自分はあまり役に立つ人間ではありませんでした」と定義していることに胸が痛くなる。すでに新聞報道などで紹介されていたエピソードではあったけれども、実際に面会した奥田氏の文章は大変に重いテーマを我々に突きつける。

岡田氏の文章には、脳障害の娘の世話を30年行っている女性による
「私は不幸ではない。でも、この30年間、私、大変だった。この大変さは誰かにわかってほしい。」
という声が紹介されている。この数日我が国の首相の体調が心配される声があちこちで聞かれるが、残念ながら、日々の生活で心配されなかった彼女のような市井の人々は数え切れないほど多いというのに。

なお今号は社団法人Springの山本潤代表理事の巻頭特集もある。性暴力被害者問題が網羅的にまとめられており、これもまた大変参考になった(Springは性暴力被害者を支援する団体)。性暴力被害者問題に興味がある方はぜひご一読いただきたい。
昨年度から関わり、そして読むようになった雑誌だが、こうした特集が多くの自治体職員の目に触れられるのはよいことだと思う。現在のような不況下ではなにかと何よりも「公務員は楽でいいよね」などといういわれなき批判を受ける自治体職員がいかに目の前の問題と真摯にむかいあっているか知るだけでもこの雑誌を手に取る価値はあるので、なかなか流通しない雑誌ではあるのだけれど、ぜひ読んで欲しいと思う。

そして、キンキンに冷えたビールを飲みながらでもないと、怒りのエネルギーを持って行きようがない事案がおおいな、という点でSさんのご指摘は正しかった。・・・あ、Sさん、キンキンに冷えたビールで、ご一緒しながら、このお話ができれば光栄です。

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