アンダークラス2030 置き去りにされる「氷河期世代」

橋本 健二(2020)『アンダークラス2030 置き去りにされる「氷河期世代」』毎日新聞出版、読了。

8050問題、就職氷河期、ワーキングプア、高学歴ワーキングプア、と我々の世代を形容する言葉は多く、その多くは非常にネガティブだ。第二次ベビーブームに生まれた我々の世代には「踏んだり蹴ったり」の生き方を強いられているのが多いのだが、そんな同年代の中でも格差が広がり止められなくなっている。同年代間でも年齢によってもはや連帯できるものは少なく、「日本就職ゲーム」の強者と弱者の分断は決定的なのだと改めて感じさせられた。

著者は、コロナ禍を契機とする就職氷河期は今後も永続化すると指摘する。それは、2010−2020年わずかに好転した就職率の改善をなかったものにする。本来は社会全体で対応しなくてはならないさまざまな社会制度の欠陥を「自己責任」によって担わされるといったところだろうか。

こうした指摘は、本書や著者だけが指摘するところではないのだが、丁寧なデータの提示、そしてその解説はこれまでにない詳細な指摘であると思われる。特に「氷河期」を前期・中期・後期に分けてその違いを論じ、また第二次ベビーブームとひとくくりにされてきた問題を解説しているのも非常に理にかなっている。僕自身は前期氷河期世代の最後にあたるのだが、それ以降の年代の就職氷河期の学生達とは「何か違う」という違和感を感じていたのだが、その違和感が氷解した気がする。

こういった事情がわからないまま、「進路指導」「就職支援」をするキャリコンや進路指導担当者は多いのだろうな、と思う。キャリアコンサルティングの勉強会で読みたい本としてリストアップしておきたい。

都城工業高等専門学校准教授(法学)

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